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那覇地方裁判所沖縄支部 平成10年(ワ)434号 判決 2000年5月11日

原告 照屋明 ほか八二九名

被告 国

代理人 星野敏 齋藤一道 吉田光宏 世嘉良清 眞榮城もと子 ほか一二名

主文

一  被告は、本判決添付の別紙「遅延損害金集計表(1)」<略>中の「原告氏名」欄記載の各原告に対し、同表中の各原告に対応する「合計金額」欄記載の金員をそれぞれ支払え。

二  原告らのその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを一〇分し、その九を被告の負担とし、その余は原告らの負担とする。

四  この判決は、本判決が被告に送達された日から七日を経過したときは、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告は、原告らに対し、それぞれ別紙「遅延損害金集計表(2)」<略>中の「原告氏名」欄記載の各原告に対し、同表中の各原告に対応する「合計金額」欄記載の金員をそれぞれ支払え。

第二事案の概要

本件は、嘉手納基地騒音差止等請求事件(当庁昭和五七年(ワ)第四九号事件〔以下「<1>事件」という。〕、同昭和五八年(ワ)第三二号事件〔以下「<2>事件」という。〕及び同昭和六一年(ワ)第二二一号事件〔以下「<3>事件」という。〕。以下、まとめて「前訴一審事件」ともいう。)及び同控訴事件(福岡高等裁判所那覇支部平成六年(ネ)第一六号、同第一七号及び同平成七年(ネ)第二六号。以下、まとめて「前訴控訴事件」ともいう。)において、国家賠償法二条に基づく損害賠償請求の一部が認容された原告らが、右各訴訟においては、遅延損害金の一部しか請求していなかったとして、残額の遅延損害金の支払いを求めたのに対し、被告は、(1)本件請求は前訴控訴事件判決の既判力に抵触する、(2)本件請求債権の一部は時効消滅している、(3)本件請求は訴訟上の信義則に違反し許されないと主張し、これを争っている事案である。

一  争いのない事実、当裁判所に顕著な事実及び容易に認定できる事実(以下「前提事実」という。)

1  本件原告らは、前訴一審事件及び前訴控訴事件の原告ら(以下「前訴原告ら」という。)及びその承継人であり、本件訴訟は、平成一〇年七月一五日に提起された。

前訴一審事件については、平成六年六月二四日、当庁において判決(以下「前訴一審判決」という。)が言い渡され、前訴控訴事件については、平成一〇年五月二二日、福岡高等裁判所那覇支部において判決(以下「前訴控訴審判決」という。)が言い渡され、同判決は同年六月一七日に確定した。

2  前訴一審事件及び同控訴事件における前訴原告らの請求は、昭和四七年五月一五日から前訴一審事件訴状送達日(<1>事件については昭和五七年三月一一日、<2>事件については昭和五八年三月一四日、<3>事件については昭和六一年一〇月一八日)までの損害賠償請求対象期間をa期間(このうち、消滅時効期間を経過していない各訴訟提起の三年前の応答日以降の期間をA期間という。)、その翌日以降の損害賠償請求対象期間をb期間(このうち前訴一審事件口頭弁論終結日の前月末日(平成四年一一月三〇日)までの期間をB1期間、その翌月一日(同年一二月一日)から前訴控訴事件口頭弁論終結日の前月末日(平成九年一二月三一日)までの期間をB2期間といい、これらの期間を併せてB期間という。)とすると、次のとおりである。

(一) 前訴一審事件提訴時の請求

前訴一審事件の各訴状においては、a期間について、一一五万円及び各訴状送達日の翌日から支払済みまで、b期間について、毎月三万三〇〇〇円及びこれに対する当該月の翌月一日から支払済みまでの遅延損害金を請求していた。

(二) 前訴一審事件口頭弁論終結時における請求の減縮

前訴原告らは、B1期間に発生した損害賠償金(毎月三万三〇〇〇円)について、一審口頭弁論終結日の翌日(平成四年一二月四日)以降に限って遅延損害金を請求する旨の請求の減縮をした。

(三) 前訴控訴事件における請求の趣旨拡張の書面の提出及びその未陳述

前訴原告らは、第一回口頭弁論期日(平成七年三月二八日)において提出した同日付け準備書面において、

(1) 昭和四七年五月一五日から各訴状送達日までの間の一か月三万円の割合による損害賠償の合計額の一部である一〇〇万円及び当該月の翌月一日から支払済みまでの遅延損害金、

(2) 各訴状送達日の翌日から控訴審口頭弁論終結日までの間の一か月三万円の割合による損害賠償金及び当該月の翌月一日から支払済みまでの遅延損害金、

(3) 昭和四七年五月一五日から各訴状送達日までの間の一か月三〇〇〇円の割合による損害賠償金の合計額の一部である一五万円及び右各訴状送達日の翌日から控訴審口頭弁論終結日までの間の一か月三〇〇〇円の割合による損害賠償金並びにこれらに対する口頭弁論終結日の翌日から支払済みまでの遅延損害金、

(4) 控訴審口頭弁論終結日の翌日から飛行等差止め履行時までの間の、一か月三万円の割合による損害賠償金及び当該月の翌月一日から支払済みまでの遅延損害金

を請求する旨(請求の趣旨の拡張)を記載していたが、同準備書面のうち、この請求の趣旨の拡張部分については陳述されなかった(<証拠略>)。

(四) 前訴控訴事件終結時における請求の減縮

前訴控訴事件の口頭弁論終結時において、b期間のうち、B期間に発生した損害賠償金に対する遅延損害金について、控訴審弁論終結日(平成一〇年一月一七日)以降の遅延損害金請求に減縮した(<証拠略>)。

3  前訴控訴審判決では、A期間及びB期間について損害賠償請求を認めた上で、A期間の損害賠償金については各訴状送達日の翌日以降の、B期間の損害賠償金については控訴審口頭弁論終結日の翌日以降の遅延損害金の支払いを被告に命じた。

4  前訴控訴審判決に対し、前訴原告らは、2(三)記載の平成七年三月二八日付準備書面において請求の趣旨の拡張がなされているはずであるとして、A、B両期間について、毎月発生する損害賠償金についてその翌月一日から支払済みまでの遅延損害金を認容する主文に更正すべき旨申し立てたが、右申立ては却下された。

5  前訴原告らは、平成一〇年六月二五日までに、被告から、前訴控訴審判決認容額全額の支払いを受けた。

6  原告らは、被告に対し、前訴控訴事件終結時において請求をしていない次の各金額について任意の支払いを求めたが、被告が応じなかったため、本件訴訟を提起した。

なお、本件において、原告らが、被告に対し、前訴控訴審判決で認容された金額の損害賠償請求権(元金)を有していたこと及び右の元金を前提とする次の各期間の遅延損害金が「遅延損害金集計表」(<証拠略>)のとおりであること(ただし、同表中のA、B各期間毎の遅延損害金額(合計)は、端数を切り捨てずに、四捨五入しているため不正確である。)は争いがない。

(一) A期間

前訴控訴審判決で認容された各月の損害賠償元金につき、その各翌月一日から前訴一審事件の各訴状送達日までの間の遅延損害金。

(二) B期間

(1) 仮執行金の支払いを受けた前訴原告らについて、

(ア) 前訴控訴審判決で認容されたB1期間の各月の損害賠償金元金につき、右各月の翌月一日から右一審口頭弁論終結日までの遅延損害金

(イ) 前訴控訴審判決で認容されたB2期間の各月の損害賠償金元金につき、各翌月一日から右控訴審口頭弁論終結日までの遅延損害金

(2) 仮執行金の支払いを受けなかった前訴原告らについて、前訴控訴審判決で認容されたB期間の損害賠償金元金につき、各翌月一日以降前訴控訴審口頭弁論終結日までの遅延損害金。

7  被告は、平成一〇年一〇月一日の第一回口頭弁論期日において、本件請求債権のうち、本件訴え提起時において時効期間(三年)が経過している平成七年七月一五日以前に発生した遅延損害金請求権について消滅時効を援用した。

二  争点

1  本件請求は、前訴控訴審判決の既判力に抵触するか。

《被告の主張》

原告らは、前訴一審事件及び前訴控訴事件において、右各訴訟における請求が一部請求である旨の表示をしていないから、本件請求は、前訴控訴審判決の既判力に抵触する。

《原告らの主張》

前訴一審事件及び同控訴事件における請求は、本件で請求している遅延損害金を含まない明示の一部請求であるから、前訴控訴審判決の既判力の範囲は本件請求に及ばない。

2  本件請求債権のうち平成七年七月一五日以前に発生したものについて、前訴は「裁判上の催告」の効力を有するか。

《原告らの主張》

前訴のような一部請求訴訟は、その残部について「裁判上の催告」の効力が生じるものと解すべきである(最判昭和五三年四月一三日訟務月報二四巻六号一二六五頁、東京高判昭和六三年三月一一日(クロロキン訴訟))。特に、遅延損害金の一部請求の場合は、訴訟係属中、残余の遅延損害金について任意の履行を求める催告がなされていると解するのが相当である(東京地判昭和五七年二月一日(クロロキン訴訟))。

そして、本件訴訟は前訴控訴事件口頭弁論終結日の翌日から六か月以内に提起されているから、本件請求債権についての消滅時効は、本件訴訟提起により中断している。

被告が援用する最判昭和三四年二月二〇日は、一部請求訴訟の残部につき裁判上の請求としての時効中断効が生ずることを否定したにとどまり、残部に対する催告の効力については触れていない。特に、本件で、原告らは、前訴各事件において、本件請求にかかる遅延損害金を訴求してはいなかったものの、その支払いを求める意思を、請求の拡張等の書面の提出等によって明示してきたものであり、権利の上に眠っていたものではない。また、事案の複雑・特異性という点でも、前訴各事件は、前出各訴訟と何ら変わるところはない。

《被告の主張》

一部請求訴訟による時効中断は、訴訟の対象となった一部の範囲においてのみ生じ、残部には及ばないから(最判昭和三四年二月二〇日民集一三巻二号二〇九頁)、前訴各訴訟で請求がなされなかった本件請求については、前訴による時効中断の効果は生じていない。原告らが指摘する各判決は、いずれも右各訴訟における特異、複雑な法律・事実関係の下における判断であり、本件には妥当しない。

3  本件請求は訴訟上の信義則(民事訴訟法二条)に違反するか。

《被告の主張》

原告らが本件で請求している遅延損害金は、前訴において請求することに何らの支障もなく、紛争の一回的解決からすれば、むしろ右事件において請求すべきであった。しかも、前訴で、原告らは、本件請求と同一であった請求部分を減縮したり、本件請求と同一の請求をすべく請求を拡張する旨記載した準備書面を裁判所に提出しながら、結局、請求の拡張にかかる部分を陳述しないなど、本件請求部分をあえて請求しない旨の態度をとっていたため、被告は、前訴控訴審判決確定後、原告らが本件請求を訴求する事態は予想だにしなかった。

原告らの本件請求は、被告に二度の応訴を強いるものである上、訴訟費用の負担をも強いるものであって、原告らの本件請求は、民事訴訟における信義則に違反するというべきである。

《原告らの主張》

前訴における請求の減縮や請求の趣旨拡張書面の未陳述は、いずれも裁判所の訴訟指揮に従って行ったものであり、請求の放棄を意図したものではない。また、前訴控訴審判決により損害賠償請求権の元金が確定した以上、それに対する遅延損害金が生じることは当然であるから、被告は、その分についても任意に支払うべきである。本件訴訟は、被告が右支払いを拒否したことからやむを得ず提起したものであり、原告らに信義則違反の要素はない。

なお、本件請求のうち、B1期間に発生した損害賠償請求権に対する一審口頭弁論終結日の翌日から控訴審口頭弁論終結日までの遅延損害金については、前訴控訴審終結時に取り下げたものであり、本件における原告ら(前訴一審判決について仮執行をしなかった原告ら及び控訴審で初めて認容された原告ら)の右部分の請求は、本案の終局判決後に取り下げた訴の再訴となる。しかし、右の請求の減縮は、大規模で、かつ争点が多岐にわたる前訴各事件において、裁判所の訴訟指揮に協力して行ったものであるから、前訴各事件で基本的な法律関係が確定した後に、右遅延損害金を請求する本訴訟は、訴訟制度をもてあそぶものではなく、また、被告が前訴控訴審判決後、原告らの期待に反して遅延損害金の任意の支払いを拒んだ点において、取下げ後の再訴提起を正当化する新たな利益又は必要性が生じたものであるから、本件訴訟は、民事訴訟法二六二条二項で禁止されている再訴ではない(最判昭和五二年七月一九日民集三一巻四号六九三頁参照)。

第三争点に対する判断

一  本件請求は、前訴控訴審判決の既判力に抵触するか。

前記前提事実2によれば、前訴における遅延損害金の請求が明示の一部請求であることは明らかであり、本件請求は、その残額の支払を求める請求であるから、本件請求は前訴控訴審判決の既判力に抵触しない。

二  本件請求債権のうち平成七年七月一五日以前に発生したものについて、前訴は「裁判上の催告」の効力を有するか。

1  訴訟提起は「裁判上の請求」として時効中断の効力を有するが、前訴のような一部請求訴訟については、その訴訟物である請求の範囲で権利が行使され、かつ権利が確定する以上、その範囲内で時効中断の効力を生じるものというべきである。もっとも、この場合においても、右の範囲を超えた請求権全部の履行を求める意思が表示されていると認められるとき(請求権全部について訴を提起できなかった特殊事情がある場合を含む。)には、その訴訟係属中、右請求権全部についての催告が継続しているものとして、いわゆる「裁判上の催告」の効力を認めるのが相当である。そして、国家賠償法に基づく損害賠償金(元本)とその遅延損害金の一部を請求する訴訟についても、これと考え方を異にする理由はない(損害賠償金(元本)及びこれに対する遅延損害金の一部が訴求されている場合、右訴訟によって、遅延損害金全額について履行を求める意思が常に表示されているとは認められない。)。

また、訴訟係属中に、その請求の一部が取り下げられた場合も、取下げがなされた際の事情などに照らし、残額部分の訴訟が維持され、追行されることにより、右取下部分についても債務の履行を求める意思が表示されていると認められる場合には、取り下げられた請求部分についても、残額部分の訴訟係属中、「裁判上の催告」の効力を認めることができると解するのが相当である。

2  ここで本件を見ると、前訴原告らは、前訴各事件の訴状において、a期間(昭和四七年五月一五日から訴状送達日)の損害賠償請求として、一一五万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日からの遅延損害金を求めている。これは、a期間全部に対応する損害を一括して一一五万円と主張し、これに対する右期間の翌日以降の遅延損害金を併せて請求するものであるから、訴状において、特段の説明がない限り、右請求の趣旨を超えて、訴状送達日より前に発生した遅延損害金の支払いをも求める意思が表示されていたことを認めることはできず、右の説明がなされたという証拠もない(また、提訴時点において、右遅延損害金の請求をなし得なかった事情も認められない。)。もっとも、前訴原告らは、前訴控訴審第一回口頭弁論期日(平成七年三月二八日)において、請求の趣旨を拡張する旨の書面を提出しており(ただし、右請求の趣旨拡張部分は陳述されていない。)、これにより訴状送達日以前の遅延損害金の支払を求める意思を明らかにしたものと解する余地はある。しかし、この時点においては、A期間の損害賠償金に対する訴状送達日以前の遅延損害金の時効期間はすでに経過しているから、右の書面提出によっても、その後の前訴係属に右遅延損害金に対する「裁判上の催告」の効力を認めることはできない。

これに対し、B期間に発生した損害賠償金に対する遅延損害金については、前訴各訴状の中で、損害が生じた各月の翌月一日からの遅延損害金を請求している。そして、前記のとおり、右遅延損害金について、一審及び控訴審の各終結段階で、各口頭弁論終結の翌日以降に限って請求する旨の請求の減縮をしているが、これは、各受訴裁判所が、原告数が多く、争点も多岐にわたる前訴各事件において、適正迅速な事件処理(特に、早期の判決言渡)の観点から、前訴原告らに対し、遅延損害金部分の請求の減縮を求めた結果であることが容易に推認でき、この事情は、被告においても認識し得たものというべきである。

このように、右請求の減縮は、B期間の遅延損害金の請求を放棄する意思で行われたものではなく、裁判所の訴訟指揮に従い、その迅速な事件処理に協力してなされたものと認められ(前提事実4によれば、前訴原告らは、控訴審における右各訴訟指揮の内容を十分に理解しないまま、これに従った可能性もある。)、このことに、前訴一審終結時に遅延損害金の一部について請求を減縮した前訴原告らが、同控訴審第一回口頭弁論において、再度、従前の請求に拡張する旨の準備書面を提出していることも併せて考慮すれば、前訴原告らは、残額部分についての前訴係属中、減縮部分についてもその債務の履行を求める意思を表示していたものと解するのが相当である。そして、原告らは、前記のとおり、前訴訴訟係属の終了時から六か月を経過する以前に本訴訟を提起しているから、B期間の遅延損害金の時効は確定的に中断されたものというべきである。

三  B期間の損害についての本件請求は、訴訟上の信義則に違反するか。

前訴原告らは、前訴一審及び控訴審の各終結段階で、B期間に生じた損害についての遅延損害金請求を減縮し、本訴において、右減縮部分の支払いを求めている。しかし、前記認定のとおり、前訴原告らが、前訴各事件において、請求の減縮をしたのは、早期の判決言渡しを目指す裁判所の訴訟指揮に従った結果であり、被告もこの事情を認識し得たこと、前訴原告らは、前訴係属中、右減縮部分についても債務の任意履行を求める意思を表示していたと解されること、前訴原告らは、前訴控訴審判決後、被告に対して、右の請求減縮部分を含む遅延損害金の支払いを求めたが、被告が応じなかったため、右判決確定後約一か月の時期に本訴を提起したことなどの事実に照らせば、原告らの本件請求は、禁反言に触れるところはなく、訴訟上の信義則に違反するものとも認められない。

なお、一部の原告らの本件請求には、前訴一審判決後に請求の減縮により取り下げた遅延損害金部分が含まれており、右減縮部分の請求は、形式的には民訴二六二条二項の再訴禁止規定に触れる。しかし、同条項は、終局判決を得た後に訴えを取り下げることにより裁判を無に帰せしめたことに対する制裁的趣旨の規定であり、同条項において禁止される再訴は、旧訴と当事者及び訴訟物を同じにするだけでなく、訴の利益又は必要性の点についても事情を同じくする訴を意味すると解するのが相当である。そして、原告らが前訴控訴審終結段階で請求の減縮をした前記事情を考慮すれば、前訴確定後、右減縮部分について任意の支払いを受けられなかった原告らにとって、本件訴訟を提起する必要性が新たに生じたものといえるから、本件訴訟提起は、前記再訴禁止規定に違反するものとはいえない。

四  結論

原告らの請求は、B期間の損害賠償金に対する遅延損害金を求める限度で理由がある。

(裁判官 廣谷章雄 吉崎敦憲 佐藤建)

別紙

遅延損害金集計表(1)<略>

遅延損害金集計表(2)<略>

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